マシンピラティスには様々な種類のマシンがあり、それぞれが独自の機能と効果を持っています。
マシンの選択によって、体のどの部分に働きかけるか、どのような成果を得られるかが変わってきます。
この記事では、リフォーマーやキャデラック、チェア、バレルなど種類別に特徴などを解説しています。
リフォーマー – マシンピラティスの代表格
リフォーマーはマシンピラティスを代表する機器で、最も広く普及しているマシンです。
その名前は「改革する」という意味の「reform」から来ており、体を改善・改革するという目的を示しています。
リフォーマーの主な構造と特徴は以下の通りです。
構成要素 | 説明 |
キャリッジ | 動く台座部分。ここに横になったり座ったりして運動を行う |
スプリング | 抵抗を生み出す部分。強度を調整できる |
フットバー | 足や手で押すために使用するバー |
ストラップ・ロープ | 手や足を引っかけて使用する部分 |
ヘッドレスト | 頭を支える部分。角度調整が可能なものが多い |
ショルダーブロック | 肩の位置を固定するためのブロック |
リフォーマーを使用したマシンピラティスの主な効果は以下の通りです。
- 全身運動が可能
- 仰向け、うつ伏せ、座位、立位など様々な姿勢でエクササイズができる
- 上半身から下半身まで全身をバランスよく鍛えられる
- 抵抗調整の柔軟性
- スプリングの数や強さを変えることで負荷を調整できる
- 初心者から上級者まで幅広いレベルに対応可能
- 体幹強化と姿勢改善
- 動く台の上でバランスを取ることで体幹が鍛えられる
- 正しい姿勢での動きを促進し、日常の姿勢改善につながる
- 関節への負担軽減
- 滑らかな動きで関節に負担をかけずにトレーニングできる
- リハビリテーションにも適している
リフォーマーはマシンピラティスの中でも特に運動の種類が豊富で、約500種類ものエクササイズが可能と言われています。
初心者でも比較的取り組みやすい基本的なエクササイズから上級者向けの高度なものまで幅広く対応できるため、多くのスタジオで採用されています。
リフォーマーを使ったマシンピラティスは、体幹強化だけでなく、柔軟性の向上、バランス感覚の養成、姿勢改善など、様々な効果が期待できるため、マシンピラティスを始める際に最初に触れることが多いマシンです。
キャデラック – 多機能な空中運動のためのマシン
キャデラックは大型のフレーム構造を持つマシンピラティスのマシンで、その名前は高級車「キャデラック」にちなんでおり豪華な装備を意味しています。
元々は病院のベッドにバネを取り付けたリハビリ用装置から発展したマシンです。
キャデラックの主な構造と特徴は以下の通りです。
構成要素 | 説明 |
フレーム | 四方を囲む大きな金属製の枠組み |
ベッド | 安定した台座部分 |
プッシュスルーバー | フレーム上部に取り付けられた可動式のバー |
スプリング | 様々な角度から負荷をかけるための装置 |
ストラップ・ロープ | 手足を掛けて使用する部分 |
レッグスプリング | 足を固定して使うスプリング |
ロールバック | 上半身を支えるためのサポート |
キャデラックを使用したマシンピラティスの主な効果は以下の通りです。
- 安定した姿勢でのトレーニング
- 固定されたベッド上で行うため、初心者でも安定した姿勢を保てる
- 体の正しい位置を学びやすい
- 空中での運動
- 重力を活用した空中でのエクササイズが可能
- 通常の運動では使いにくい筋肉にもアプローチできる
- 左右別々のトレーニング
- 片側ずつ異なる動きができ、体のバランスを整えやすい
- 左右の筋力差を修正するのに適している
- リハビリから高度なトレーニングまで
- 怪我のリハビリから始める人にも安全
- アクロバティックな高度なエクササイズも可能
キャデラックはその多機能性から「キャットウォーク」や「トラペーズテーブル」とも呼ばれます。
固定されたベッド上で行うためリフォーマーのように台が動くことはなく、スプリングやバーを使って様々な角度から体にアプローチすることができます。
特に初心者や体力に自信のない方、リハビリ中の方にも適しており、安全に効果的なエクササイズを行うことができます。また、上級者向けのアクロバティックな動きも可能で、SNSなどでも映える「空中エクササイズ」として人気があります。
キャデラックは大型のマシンであるため設置には広いスペースが必要ですが、「タワー」と呼ばれるキャデラックの片側だけを取り付けたコンパクトなバージョンやリフォーマーと組み合わせた「キャフォーマー」など、様々なバリエーションも存在します。
チェア – コンパクトで強度の高いマシン
ピラティスチェアは、その名の通り椅子型のマシンピラティス用機器です。
コンパクトながら高い負荷をかけられることが特徴で、ジョセフ・ピラティス氏が小さなアパートに住むクライアントのために考案したとされています。
チェアの主な構造と特徴は以下の通りです。
構成要素 | 説明 |
座面 | 安定した座る部分 |
ペダル | 足や手で押し下げる可動部分 |
スプリング | ペダルに抵抗を与えるバネ |
ハンドル | 体を支えるための取っ手 |
背もたれ | 一部のモデルに付いている支え |
スプリット型/ワンピース型 | ペダルが分かれているタイプと一体型のタイプがある |
チェアを使用したマシンピラティスの主な効果は以下の通りです。
- 強力な下半身トレーニング
- ペダルを押す動作で脚部や臀部の筋肉を集中的に鍛えられる
- 体重を利用した効果的な負荷がかけられる
- コアの強化
- 不安定な状態でバランスを取ることで深い体幹筋が活性化される
- 姿勢保持に必要な筋肉を効率的に鍛えられる
- 上肢の筋力向上
- 手でペダルを押す動作により、腕や肩の筋肉も鍛えられる
- 体を支える動作で上半身全体を使う
- バランス感覚の向上
- 片足や片手でのエクササイズにより均衡能力が向上する
- 日常生活での安定性につながる
チェアはコンパクトなサイズながら非常に効果的なトレーニングが可能なマシンピラティスの機器です。座る、立つ、横になるなど様々な体勢で使用でき特に体幹や下半身の強化に適しています。
リフォーマーやキャデラックと比べるとコンパクトで設置場所を取らないためスペースが限られたスタジオや自宅でも取り入れやすいマシンです。また、その見た目から一般的なトレーニング機器と認識されにくいため、インテリアとしても馴染みやすいという利点もあります。
チェアは負荷が比較的高く、初心者には少し難しいと感じることもありますが、正しい指導のもとで行えば短時間で効果的なトレーニングができるため時間効率の良いエクササイズが求められる方に向いています。
経験を積むにつれて様々な動きにチャレンジでき約80種類以上のエクササイズのバリエーションがあります。
バレル – 背骨の調整と柔軟性向上のためのマシン
バレルは樽(たる)のような湾曲した形状を持つマシンピラティスの機器で、主に背骨の柔軟性向上や姿勢改善に特化しています。
スプリングなどの機械的な部品は少なく、シンプルな構造ながら効果的なエクササイズが可能です。
バレルの主な種類と特徴は以下の通りです。
バレルの種類 | 特徴 |
ラダーバレル | バレル(樽)とラダー(はしご)を組み合わせた大型タイプ |
スパインコレクター | 脊柱の調整に特化した小型のバレル |
アークバレル | アーチ状の緩やかなカーブを持つバレル |
ステップバレル | ステップ台とバレルを組み合わせたタイプ |
バレルを使用したマシンピラティスの主な効果は以下の通りです。
- 脊柱の柔軟性向上
- バレルのカーブに沿って背骨を伸ばすことで、背骨の可動域を広げる
- 硬くなった背中の筋肉をリリースする効果がある
- 姿勢改善
- 猫背や反り腰などの不良姿勢を改善する
- 正しい姿勢の感覚を体に覚えさせる
- 胸部の開放感
- 胸を広げるストレッチにより呼吸が深くなる
- 肩こりや胸の緊張を緩和する
- コア強化
- バレル上でのバランス取りにより深層筋が活性化される
- 特にラダーバレルを使った腹筋運動は効果的
バレルは他のマシンピラティスの機器と比べて機械的な要素が少なく、バネなどによる抵抗や補助はありませんが、その形状を活かした独自のエクササイズが可能です。
特に背骨を伸ばすエクササイズに適しており、座りがちな現代人に多い背中の緊張をほぐす効果があります。
ラダーバレルは最も大型のバレルで、バレル部分とラダー(はしご)が組み合わさった構造になっています。脚をラダーに固定して行う腹筋運動やバレルに沿った背骨のストレッチなど、様々なエクササイズが可能です。
スパインコレクターは名前の通り、背骨を整えるための小型バレルで、背骨を細かく動かすエクササイズに適しています。デスクワークなどで硬くなった背中をリリースするのに効果的です。
バレルはダンサーやヨガ愛好家にも人気があり、柔軟性を高めたい方や姿勢改善を目指す方に特におすすめのマシンピラティスの機器です。
約50種類以上のエクササイズが可能で、他のマシンと組み合わせることでさらに効果的なトレーニングができます。
マシンピラティスの組み合わせと選び方
マシンピラティスの効果を最大限に引き出すためには、各マシンの特性を理解し、目的や体の状態に合わせて適切に組み合わせることが重要です。
一つのマシンだけではなく、複数のマシンを組み合わせることで、より総合的なボディメイクが可能になります。
マシンピラティスの組み合わせによる効果向上と自分に合ったマシンの選び方について解説します。
目的別に見るマシンピラティスの選び方
目的 | おすすめのマシン | 理由 |
全身バランス強化 | リフォーマー | 全身を均等に使うエクササイズが豊富 |
体幹(コア)強化 | リフォーマー、チェア | 不安定な状態でのバランス取りが効果的 |
姿勢改善 | バレル、キャデラック | 背骨の正しい配列を促進する動きが可能 |
柔軟性向上 | バレル、キャデラック | 広い可動域でのストレッチが可能 |
下半身強化 | チェア、リフォーマー | 脚部に効果的な負荷をかけられる |
リハビリ | キャデラック | 安定した状態で筋肉を段階的に強化できる |
上級者向け挑戦 | キャデラック、チェア | 高度なバランスと筋力を要する動きが可能 |
マシンピラティスの組み合わせ効果
- リフォーマー + キャデラック
- リフォーマーの動的なトレーニングとキャデラックの安定したエクササイズを組み合わせることで、動的・静的両面から体にアプローチできる
- キャデラックで特定の部位を集中的に鍛えた後、リフォーマーで全身の連動性を高めるといった使い方が効果的
- リフォーマー + バレル
- リフォーマーでのコア強化とバレルでの背骨の柔軟性向上を組み合わせることで、強さと柔軟性のバランスが取れた体づくりが可能
- バレルで背骨を動かした後にリフォーマーで体幹トレーニングを行うと、より深い筋肉にアプローチできる
- チェア + バレル
- チェアでの強度の高いトレーニングとバレルでのストレッチを組み合わせることで、筋力と柔軟性のバランスを取れる
- チェアで下半身を鍛えた後、バレルで脊柱と腰部をリリースするといった使い方が効果的
自分に合ったマシンピラティスの選び方
- 経験レベルによる選択
- 初心者:リフォーマーやキャデラックから始めると、マシンのサポートを受けながら基本的な動きを学べる
- 中級者:チェアにチャレンジして体幹の安定性をさらに高める
- 上級者:全てのマシンを組み合わせて、さまざまな角度から体にアプローチする
- 体の状態による選択
- 怪我や痛みがある場合:キャデラックが安全に取り組みやすい
- 姿勢の改善が必要な場合:バレルが特に効果的
- 全身の引き締めが目的の場合:リフォーマーでの総合的なトレーニングが効果的
- 時間や予算による選択
- 短時間で効率的にトレーニングしたい場合:チェアが効果的
- 費用を抑えたい場合:グループレッスンのあるリフォーマークラスがおすすめ
- 自宅で行いたい場合:コンパクトなチェアやスパインコレクターから始めるとよい
マシンピラティスは一つのマシンに限定する必要はなく、自分の目的や体の状態に合わせて様々なマシンを組み合わせることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
スタジオに通う場合は、複数のマシンが揃っているところを選ぶと変化に富んだトレーニングが楽しめるでしょう。
最初は経験豊富なインストラクターのもとで基本を学び、徐々に様々なマシンにチャレンジしていくことで、マシンピラティスの真の効果を実感できるようになります。
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